一時は値段的に躊躇していたPPVでの視聴でしたが、マッチメイクを改めてみたら我慢出来なくなって一気に観てしまいました。ちなみにDynamiteの方はビデオ録画に失敗してしまいまして、観ていません。
 以下、結果と気になった試合の雑感です。
○チャールズ・“クレイジー・ホース”・ベネット(腕ひしぎ逆十字固め)金子賢×
○中村和裕(判定)近藤有己
○ジェームス・トンプソン(KO)ジャイアント・シルバ×
○菊田早苗(判定)瀧本誠×
○エミリヤーエンコ・アレキサンダー(裸絞め)パウエル・ナツラ×
○エメリヤーエンコ・ヒョードル(KO)ズール×
○ダン・ヘンダーソン(判定)ムリーロ・ブスタマンチ×
○五味隆典(KO)桜井“マッハ”速人×
○桜庭和志(アームロック)美濃輪育久×
○マーク・ハント(判定)ミルコ・クロコップ×
○ヴァンダレイ・シウバ(判定)ヒカルド・アローナ×
○吉田秀彦(腕ひしぎ逆十字固め)小川直也×
 金子賢は見せ場無し。まぁ仕方ないでしょう。打撃を喰らって痛がって背中を見せてしまうあたりが素人丸出しで話にならず。シャブジャンキーと言われていた金子が頑張っている姿は認めても、PRIDEのリングには不要ですね。
 あ、この試合はTK(高阪剛)が解説を務めましたが、なかなか良かったですね。言っていることが非常に具体的かつ細かく、マニアからしたら高田よりも全然良いと思うでしょう。
 中村と近藤は終始中村のペースでしたので判定でも仕方無し。ポスト吉田として期待されている中村がここで負けるわけにはいかないという気迫が勝ちましたね。個人的には近藤が好きなのですが、今回は見せ場ありませんでした。残念。
 菊田と瀧本は、判定でしたが内容は菊田の圧倒的な勝利。というか瀧本は総合への慣れが遅いですねぇ。百戦錬磨の菊田が相手では、話になりませんでした。表の柔道王と裏の柔道王というマッチメイクでしたけど、菊田にとっては旨味の少ない試合だったのでは…。
 ヒョードルとズールは、ヒョードルの凄さが凝縮された試合でした。とにかく強い、強すぎる。狙いを一点に絞って、速攻をかけましたね。全く遊びなく、完勝でした。ヒョードルは王者の割には人気無いですが、こうして強さを改めてみせられてしまうと、やはり文句無く王者として認めるしかありません。
 ダンヘンとブスタマンチは消化不良な試合でした。一応ダンヘンが勝ってウェルター級制覇となりましたが…これでは価値がありませんね。ダンヘンは長いこと好きな選手ですが、だからこそもっと魅せる試合をして欲しいと切望します。
 五味とマッハ。やっぱり五味の勢いは凄いですね。個人的に好きな選手ではありませんが、この階級に日本人に既に敵はいないのは事実でしょうね。あとは世界から強い選手をどんどん呼んで、ライト級をより盛り上げるしかありません。武士道でちまちまやっているのでは、修斗と大差ありませんからね。
 サクと美濃輪はプロレスラー同士の試合ということで格闘家のそれとは全く違う盛り上がりを演出されていましたが、試合自体はそれほど過剰なものはなく、割と淡々と総合然としたものでした。ただ、ロープ際での攻防はホイス戦を、フィニッシュはホイラー戦を思い出させるもので、やはり桜庭は見せ場を作るのが巧い選手だなぁと思ってしまいました。
 ハントとミルコ。これはハントの試合になりましたね。ミルコは伝家の宝刀左ハイを連発しましたが、序盤こそ効果的だったものの中盤以後は完全に見切られていましたね。一方ハントの押しは強く、これぞヘビー級という凄みをみせてくれました。グラウンドでの攻防がありませんでしたのでハントの総合での今後を占うことは出来ませんが、K-1出身の選手としてミルコに続くことが出来れば、ヘビー級がより面白くなりますね。練習嫌いでも、あの天性のセンスがあれば…と思ってしまいます。
 シウバとアローナ。判定決着となりましたが、どちらにとっても消化不良だったでしょうね。両者ともに決定打は無く、終始見せ場に乏しい試合でした。これが、アローナの試合の悪いところなんですよね…。シウバも勝つには勝ちましたが、これでは完全に復活したとは言えないでしょう。次戦が注目です。
 最後の吉田と小川。吉田の道着着用が戦前の話題となりましたが、結局着ませんでしたね。試合は、小川の見せ場はあまり無く、吉田が終始コントロールしました。序盤に吉田が足を極めたところで、小川の足(くるぶし?)は折れてしまったそうですね。その点を踏まえて再度試合を観ると小川の凄さも良くわかるのですが、それでも吉田の勝ち以上の価値は無いでしょう。
 試合後のパフォーマンスは、客を掴むという部分でさすがに小川が勝りましたね。一方の吉田も小川の頼みをむげにすることなく自分の主張を貫いたという点が良かったです。こういうプロレス然としたやり取りをあんまりやられると(しかもメインの後で)薄ら寒いのですが、うまく吉田がバランスとった形でした。
 興行的な部分を総括して言うと、まず大成功と言って良いと思います。全12試合、しかも通常の興行のメインになりうるカードが揃ったということを考えると、少々欲張りというか、詰め込みすぎだと言わざるをえませんが、それは大晦日興行、つまりお祭りということで、許されても良いでしょうね。
 ただ個人的には大晦日興行は、男祭りの前身である一番最初の猪木ボンバイエを超えるものは未だ出てきてないと感じます。結局インパクトの問題なのですが、男祭りのような全部入りのイベントは視聴率こそとれるものの、格闘技の興行としては満点を付けられるものではない、と思えてしまいます。
 PRIDEは人気が鰻登りで、階級を新設したりGPを盛んにやったりしてどんどん肥大化してきてますが、もう少しシンプルにしても良いと思います。ナンバリングされた通常の興行がほとんど行われていない状態を、DSEは冷静に考えてみる必要があるのではないかと。

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